【レビュー】シェアハウスに暮らす男女６人のお話です。読めば今すぐ荷物まとめてシェアハウスに引っ越したくなります！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから10月25日に刊行される『このシェアハウスは恋愛禁止なのに、どう見ても告白待ちの顔をされています』です。みなさんの感想も聞かせてください！

シェアハウスで、高校生が、男女一緒に暮らす……？　夢みたいな状況じゃないか！　いや、男女が同じ屋根の下で生活するシチュエーションは良くあるのです。問題は、ヒロインが３人もいること！

陽万里、玲奈、澪の３人が、主人公の蓮にいろいろ押し引きしてくるわけですよ。それだけでも妬ましいのですが、読み進めていると「おや？」となります。

蓮の視点からエピソードを見ると、女子３人は蓮に対してそっと距離を取ったり、強めに当たってきたり、突き放したりと、それぞれが個性を発揮しつつ蓮を翻弄してくるわけです。でも、視点が女子側に移った途端、蓮自身が感じたり受け取ったりしていたことが全部間違い――実は彼女たちがそれぞれ彼への意識を強めていたからなのだと判明するのですね。それこそご本人たちの本音によって！

そして蓮の知らないところで交わされる女子３人の密やかで激しい探り合い！　その丁々発止っぷりに心をズバーっといかれずにはいられません。一つ屋根の下で暮らす男子のハートの奪い合いが表も裏も読者には全部見えてしまう、これが実にたまらないわけですね。

しかし、三つ巴の中心にいる蓮くんは空気読まない系男子。女子３人がそれぞれどんなにかわいかろうと、どんなにがんばろうと、どんなに意識を高めようと、それを好意だと見抜いたりすることは（現状）ないという。

鈍感すぎる！　と思いつつも、彼の不動の精神のおかげで、女子の揺らぐ心や揺れる想いと、なにからなにまで噛み合わない群像劇の有様を楽しめるのです。

だがしかし！

そういう蓮くんが妬ましくてしかたない。ハーレムになるのか、ドロドロになるのか……個人的には、幸せになるなと呪っておきますね（はぁと）！

文：髙橋剛

ざっくり言うとこんな作品

１）高校生向け（ただし入居者同士の恋愛は絶対禁止！）の格安シェアハウスで共同生活する男女６人のお話！

２）エピソードが主人公だけでなくそれに関わった女子の視点からも語られるので、状況も心情も裏の裏まで丸わかり！

３）ラブコメは……初めから始まっています！

主要キャラ紹介

▼日比谷　蓮（ひびや　れん）
楽と安全をこよなく愛する事なかれ主義の少年。同居人の女子たちに日々惑わされ、自分で決めた人生航路を踏み外しかけている真っ最中！

▼橘　陽万里（たちばな　ひまり）
猫とシュークリームを愛するふんわり系美少女。想像力豊かなせいで蓮の何気ない行動を勝手に深読み、少しずつ意識し始めていて……。

▼月山玲奈（つきやま　れな）
楽しいことが好きで退屈が嫌いなアクティブ派。小さなことをきっかけに蓮が気になっている自分に気づいて、とまどったり悩んだり。

▼五十嵐　澪（いがらし　みお）
20代の内に優秀な男性と結婚することが目標の努力家。これまで恋愛に興味はなかったが、意外にも理想条件に合う蓮に興味を惹かれていく。