【レビュー】食われちゃう！——と思いきや訪れた幸福にほっこり。ちょっと疲れ気味だった自分にはぴったりの一冊でした。

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はカドカワBOOKSから10月10日に刊行される『無才王女、魔王城に嫁入りする。 ～未来視の力が開花したので魔族領をお助けします！～』（著者：高文緒／イラスト：昌未）です。みなさんの感想も聞かせてください！

　魔族に嫁ぐってどんな感じなんだろう？　そもそも魔族というのは悪魔や妖怪のたぐいなので、モンスターなど、やっぱりかなり邪悪なイメージが……そんなところに一人の女の子が嫁ぐと聞いたら、これはもう絶対生き血を吸われて食われるんじゃ？　と、ちょっとドキドキしながら読み進める。

　主人公のカトリーヌは、とても不幸な生い立ちで虐げられていた王女。そんなカトリーヌが和平のため魔族の国・ゼウトス王国に嫁ぐことに。王国に向かう途中でさっそく魔族が現れ、カトリーヌはあえなく失神。ああっ、食われちゃう！——と思いきや、この人たち魔族ではあるけれど、意外に心優しいことが判明する。しかもカトリーヌのお相手の王子フェリクスは、かなりの美形でとても誠実な性格。魔族といっても怖い存在ではないことがわかり、カトリーヌは王子の嫁として歓迎を受ける。ずっと不幸な日々を送ってきた彼女にようやく訪れた幸福に思わずほっこり。

　そしてカトリーヌはそれまで封印されていた未来視の力を開花させる！　カトリーヌ自身にその才能があったのは間違いないけれど、思うに、王子やまわりの魔族の励ましのおかげもあって力を発揮できたんじゃないだろうか。やっぱりみんなから認められたり愛されたりすることで勇気も出るし、頑張る気も起こるんだなと感動。王子とのぎこちないけど、心温まるカップルぶりにも癒やされるし、最近、ちょっと疲れ気味だった自分にはぴったりの一冊！

文：中島泰司

ざっくり言うとこんな作品

１）虐げられていた王女カトリーヌが魔族に嫁ぐことになり、それまで眠っていた力を発動し新しい国作りにいそしむファンタジー

２）カトリーヌが魔族の国で出会う、ちょっと恐ろしいけど、心優しくて個性豊かな魔族たちとの交流に思わずほっこり

３）思わぬ結婚をすることになったカトリーヌと魔族の王子フェリクスとの、ぎこちなさと微笑ましさ満点のラブコメディ

作品紹介コミック

作品の魅力をコミックでご紹介！　読むときは「画像をクリック」して「次の画像」を押して読んでくださいね。

主要キャラ紹介

カトリーヌ
エリン国王の愛人だった母の身分が低いため、使用人のような扱いを受けていた王女。実は先見（さきみ）の能力を持つことが判明して!?

フェリクス
ゼウトス王国の王子。ヒト族と変わらない容姿で美形。無表情だけど心根はとても優しい。女性の扱いには全く慣れていないようで……

チェリー
カトリーヌのお世話をする花の精のような存在。みんな同じ心を持ち、記憶も共有し合っている。ちょっと抜けているところもご愛敬