【レビュー】神様の代わりに信仰集め……のはずが、何故か「けもみみ巫女」が祀られまくる新世代かわいい百合ファンタジー！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から9月20日に刊行された『けもみみ巫女の異世界神社再興記　神様がくれた奇跡の力のせいで祀られすぎて困ってます。』です。みなさんの感想も聞かせてください！

　けもみみ少女は正義。ロリだとなおよし。加えて百合展開（ここでは女の子同士の関係性のことを指します）となれば最高……！　と性癖だけ語るのもよくはないのですが、本作はとにかく堅苦しいことを考えずに、癒されたいときに読みたい一冊です。

　まず、けもみみ。女子高生が異世界に召喚！　ともなれば、普通は人間姿そのままで冒険に繰り出すこととなります。しかし、本作では御祭神のおかげで（しかもSNSでバズりそうだからという理由で。……いや、異世界にSNSはないですが）けもみみと尻尾を生やされ、神の使いであることが分かりやすい姿に。しかも涼香が幼い見た目と来たものだから、その相乗効果たるや。

　そんな涼香が異世界で出会ったのは、ブラック企業のような教会によって苦しめられていた聖女見習いのソティエール。彼女と一緒に信者を集め、元の世界へ戻る足掛かりを得ようとするのですが、この道中がとにかく素晴らしいのです。異世界から来て身寄りのない涼香。そして教会に苦しめられていた＆両親を亡くしていて孤独の身であるソティエール。二人が神の眷属と巫女という上下関係でありながら友達にもなっていくその様子が、もうたまらない！　一見ソティエールの方が年上に見えるものの、実際は涼香の方が年上というのも二人の関係性を彩るアクセントとなっていきます。さらには剛腕＆敏腕な村長の娘・アンリも加わって女の子たちの関係性が強化されていく様子は、さすが『新米錬金術師の店舗経営』の作者です……！

　教会の思惑に村が巻き込まれるときも、涼香の行動によって危機が阻止される様子はとても爽やか！　全くストレスのない、癒しが詰まったファンタジー作品です。これなら絶対に、涼香の信徒になってしまう……！

文：太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

１）異世界に飛ばされてしまった女子高生・涼香が、ロリ可愛いけもみみ少女に！　その可愛さに、異世界の民もメロメロ!?

２）現世に戻るためには神からもたらされる使命をクリアしなくてはならない――その道中で出会う少女とのちょっぴり百合な関係性に注目！

３）不思議な力を駆使して民を救っていく爽快感と、その力によって涼香を信仰する人々が増えていく、まるでゲームのようなワクワク＆面白さ！

主要キャラ紹介

御守涼香（みもり すずか）
実家の神社で巫女をしていたところ、異世界に呼ばれた女子高生。信仰ポイントと引き換えに発動する不思議な力を手に、異世界で布教活動を開始する。

ソティエール
倒れていたところを涼香によって救われた元聖女見習い。教会から過酷なノルマを課せられていたが、涼香の巫女に転職する。

アンリ
涼香とソティエールが訪れた開拓民の村で難病に苦しんでいた女性。彼女を救うべく、父である村長は山賊まがいの行為に手を出し……。

緋御珠姫（あけのみたまのひめ）
涼香の実家で祀られている御祭神。涼香を異世界に飛ばし、信仰の大きさによって得られるポイント制の使命を彼女に課した。