【レビュー】パズルゲームで世界を救う!! 異世界の地でみんなのために挑み続ける主人公の姿はまさに英雄！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は10月1日に刊行される『パズルアプリで異世界復興始めましたが、魔王様からの溺愛は予想外でした』です。みなさんの感想も聞かせてください！

　英雄だってすべての人を幸せにできる訳ではない。それでも、頑張って多くの人を救おうとしていると分かるから、英雄なのにと文句を言わずに尊敬する。サクラに抱くのも、そうした頑張りへの感謝であり賞賛だ。

　彼女はやり込んだパズルゲームとそっくりのゲームを解くことで荒廃した世界を修復できる。ある意味で英雄だけれど、あっという間にすべてのパズルをといて世界を完全に復興できる訳ではない。

　広い土地とか水源のような重要な施設を直す時に出てくるパズルは難易度が高くてすぐには解けない。そんな時にサクラが感じる、これだけ期待されているのに叶えてあげられない悔しさが伝わって来て心が痛くなる。逃げてしまえば良いのにと言ってあげたくなる。

　実際、異世界に来たばかりの頃のサクラは元の世界に戻ることが最優先で、水をきれいにしたのも自分の体調や都合を優先したからだ。けれども、周りの人やアルドが喜んでくれるのを見ているうちに、頑張ってみようと思うようになる。そうした変化を周りの人がしっかり受け止め、お互いに支え合うようになる展開に人の優しさを感じて嬉しくなる。

この世界にはサクラの推しキャラとそっくりな「ユーリス」も存在するが、やはり現実では性格や立ち位置にずれがある。明日飢えて死ぬかもしれない世界で、民を「家族」と呼んで一歩ずつ前に進んでいこうとするアルド。強い力とカリスマ性を持つ彼を相手に、取引を持ちかけて自分の居場所を得ていくサクラは、なかなかの賢明さだと感心する。

　これから先、困難に阻まれることもあるだろうけれど、強いサクラと支えるアルドがいれば世界に幸せを取り戻せる時が来るだろう。見守りながら行方を追っていきたいファンタジーの開幕だ。

文：タニグチリウイチ

ざっくり言うとこんな作品

・世界を救う聖女の力があるのだからと逃げ出さないで修復に挑み続けるサクラの優しさと決断力に惹かれない者などいない！

・食料や飲み水にも困っている魔物の国で国民をまとめあげ、献身的に復興作業を続ける若き国王アルドの圧倒的なカリスマ性。

・やり込んだパズルをクリアすれば壊れた家も汚れた泉も元通り。大勢から感謝される世界で持てる力を役立てられる嬉しさ

主要キャラ紹介

サクラ
見ず知らずの女性と一緒に、突然崩壊寸前の世界に召喚された元会社員。幼い頃からやりこんでいるパズルゲームの『ユーリス』が最推し

アルド
魔物を祖先とする人間が集まってできた国・ソキウスを治める王。魔力が強く、カリスマ性を持つが、気遣いに溢れている

ユーリス
サクラを召喚した国・アリローグの王族。横暴な王から守るべく、アルドにサクラを託す。サクラの最推しとどこか似ているが……