【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はドラゴンノベルスから9月5日に刊行される『やんちゃ姫さまの大冒険 うちの第三王女、冒険者になるってよ』です。みなさんの感想も聞かせてください!
「女の子はお淑やかに」、「お行儀よく」、「言葉遣いは美しく」、「身嗜みに気を遣うべし」などという価値観は、いまの世の中では時代遅れになりつつある。女性活躍社会の現代にあって女性の上司なんて珍しくもなく、伝統工芸でも女性職人は評判だし、建築現場でも女性作業員が重機を軽々と乗り回す。とくにスポーツ分野では活躍が顕著で様々な競技大会で大躍進をする大和撫子たちの姿は記憶に新しい。
そんなご時世だからなのか、やんちゃ姫のパシアンのお転婆ぶりに将来の期待を感じてしまいます。童話の冒険譚に憧れて旅に出てしまう行動力、常識やしきたりに囚われない発想力、魔物に囲まれても動じない度胸。幼いのに何とも頼もしいんですよ。ただし護衛騎士として連れ回されるアルジャン側にとってはたまったんもんじゃないですよね。アルジャンが止めても危険な魔物退治に出向いてしまうお姫様にハラハラしっぱなしです。
お姫様の気まぐれの冒険者ごっこかと思いきや、本当に伝説の勇者の再来で、各地で魔物を討伐したり、悪党を成敗したり、世直し珍道中が始まっていくのが愉快なんですよ。しかしパシアンの祖先が残した勇者の道具がチートすぎます。勇者の剣に魔法銃、無限収納の鞄までは定番としても、どこでも湯浴みができるバスタブとか、身代わりになるぬいぐるみとか、攻撃を反射するお守りだとか、ドラ●もんのひみつ道具みたいで夢がありますね。
パシアンの野生児じみた振る舞いについつい目を奪われがちですが、我儘なだけじゃなくて勇者としての自覚をもって、国のため人のために動いている。厄介事を起こしても根は真っ直ぐな子だから許せちゃうんですよね。いつしかアルジャンだけでなく、ボンボンのイディオや貧乏貴族のブリエ、騎士団や王国まで、関わった人々がみんなパシアンの一挙一動に振り回されていく展開が痛快です。
文:愛咲優詩
ざっくり言うとこんな作品
1)婚約破棄されたお転婆なお姫様が、童話の冒険譚に憧れて旅に出る!
2)勇者の道具を使ってお姫様と凄腕の護衛騎士が各地でハチャメチャ世直し!?
3)婚約破棄したお坊ちゃんと貧乏令嬢カップルも二人を追いかけて、騒動に巻き込まれてしまい……?
主要キャラ紹介
パシアン
お転婆な姫様。勇者の末裔であり、勇者の才が発現した稀有な存在。勇者の残した道具をすべて使いこなす。冒険者に憧れ旅に出る。
アルジャン
平民出身の護衛騎士。凄腕の元冒険者。個の強さは騎士数人分に匹敵する。お転婆な姫様に手を焼かされている。
イディオ
公爵家の長男でプライドが高い。パシアンの婚約者だったが、お転婆ぶりに泣かされて婚約破棄を宣言したことで平民落ちする。
プリエ
男爵家の令嬢。下級貴族として謙虚に振る舞っていたらイディオに勘違いされ騒動に巻き込まれる。回復魔法に目覚めたことでパシアンの旅の共を命じられる。
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やんちゃ姫さまの大冒険 うちの第三王女、冒険者になるってよ
著者: サエトミユウ イラスト: きんし
勇者の血を引くやんちゃ姫×冒険者上がりの護衛騎士による奇想天外冒険譚!
第三王女の護衛騎士アルジャンは、婚約破棄されたパシアン姫(7歳)から「冒険者になるぞ!」と言われ、大困惑。
姫はかつての勇者が使った魔道具を持ち出し、騎士一人を連れて冒険の旅へ。
「姫さま、パパに言って俺の給料上げてください。あと護衛を増やしてええ!」と嘆願するも、
新任の護衛と侍女候補はワケあり、おまけに道中で“勇者のお供”をスカウトしだして――?
その旅の意味を悟った時、ついにアルジャンは覚悟を決める!