【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は9月13日に刊行される『前世の記憶が役立つとは思えません! ~事件と溺愛は謹んでご辞退申し上げます~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
転生者といえば、前世の記憶でアイテムを作ったり、戦いで劇的な勝利を収めたりして、活躍するのが大定番。とはいえ、もし仮に自分が転生したとして、そんな役に立つ知識なんて、持っているかというと……。幸い(?)、本作のヒロイン・アリシャも「こっち側」の存在でした。
彼女が持つ前世の記憶は、推し活と、テレビドラマなどの知識くらい。うん、役立ちそうにない(笑)。ところが、この世界の貴族界隈には、テレビドラマのような「お約束」が満ちているのです。「犯人は、まだこの部屋にいる?」、「逃げたのは、赤いドレスの“女”!?」、「令嬢に殺された男爵の正体は……」などなど。騎士団が捜査に悩む事件を、軽々と解決するアリシャ。まあ、確かに現代のドラマなら「あるあるネタ」ですね。そして、事件現場でも物怖じしない彼女は、騎士団のバルディに好かれてしまいます。平凡な自分とは釣り合わないと、徹底的に彼の好意を否定するアリシャと、そんな彼女に、真正面からアプローチを続けるバルディ。結局、アリシャは事件の度に、バルディに連れられて、捜査に参加するハメに。
ちょっとデコボコな男女コンビが、トリックを暴き、殺人事件の真相に近づいていく……。そう、この流れはまさに、二時間枠のサスペンスドラマのよう。複数の事件がひとつにつながってゆくのも秀逸で、読了後には脳内で、聞き慣れた、あの主題歌が流れてきました。なぜかはあえて言いませんが、火曜の夜に読むのが特にオススメです。
文:瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
・二時間ドラマあるあるで培った「なんちゃって推理」で事件解決⁉
・平凡を愛するモブ令嬢×ハイスペック騎士団公爵による男女バディラブコメ♡
・無自覚イチャコラ&殺伐事件のミルフィーユ展開がクセになる!
主要キャラ紹介
アリシャ・ヒルヘイス
子爵令嬢。
前世の記憶を持つけれど、その知識はだらだらテレビドラマを見ていただけ……だったはずが⁉
バルディ・ファイユーム
公爵家次男で、騎士団所属。
アリシャのモブ令嬢らしからぬ存在感に魅了され、あの手この手で口説きまくる。
ルディス・ファイユーム
バルディの兄で公爵家長男。
王宮勤めのエリートで、腹黒策士。
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前世の記憶が役立つとは思えません! ~事件と溺愛は謹んでご辞退申し上げます~
著者: 幸智ボウロ イラスト: れんた
なんちゃって推理が公爵様に見初められて……!? そんな溺愛要りません!
下級貴族のアリシャは前世の記憶持ち。
しかしこれといった特技(スキル)もなく、前世では『二時間ドラマ』を見て適当に暮らしていただけの平凡令嬢。
そんなある日、偶然居合わせた公爵令息バルディと女性の遺体を発見してしまう。
これ――ドラマで見たあの場面!
「犯人、まだ部屋にいるかも」
余計な一言で事件解決! その姿をバルディに一目惚れされてしまい!?
モブ転生令嬢の巻き込まれラブコメ★