【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はカドカワBOOKSから9月10日に刊行される『逃亡賢者(候補)のぶらり旅 ~召喚されましたが、逃げ出して安寧の地探しを楽しみます~』(著:BPUG/イラスト:村 カルキ)です。みなさんの感想も聞かせてください!
召喚されたり転生したりした異世界で、勇者となって大活躍するような展開は、なってみたい自分をそこに感じられるところが嬉しい。最底辺のモンスターや悪役令嬢に生まれ変わるような展開でも、必死の状況から抜け出そうとするスリルが味わえる。
『逃亡賢者(候補)のぶらり旅 ~召喚されましたが、逃げ出して安寧の地探しを楽しみます~』は、そんな二つの例とはちょっと違った面白さがある。ハルとイーズという二人が召喚されたところからスタコラ逃げ出して繰り広げる異世界での生活が、庶民的で現実味があって今のこの現実社会を生きていくために役立つのだ。
異世界だからといって無法地帯ではない。お金がなければ何も買えないし何も食べられない。お金を稼ごうにも身元不明の召喚者では働く場所も見つからない。鑑定と隠密のスキルがあるなら大ドロボウになれそうだけど、それはやりたくない二人がちょっとだけスキルを使い、情報を集めて異世界に自分たちの居場所を作っていく。そんなのんびりとした展開が、英雄としての賞賛や底辺からの逆転の喜びとは違った充実感を与えてくれるのだ。
ハルやイーズといっしょに召喚された高校生たちが、勇者にされてどんな仕事を任されているかが分からないから、二人の判断がベストだったとはまだ言えない。世界を救う栄誉を逃してしまうかもしれないけれどそれもまた人生だ。身の丈からちょっぴり高いところを目指してつかみ取る喜びを味わいながら、もしかしたら主人公として世界を救っちゃうような展開にも期待を向けて、これからのストーリーを追っていきたい。
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)若返った元サラリーマンと死ぬ運命から逃れた中学二年生の凸凹コンビがみせる親子とも友だちとも違うワチャワチャした関係。
2)隠密スキルで王城内をうろつきまわって幽霊伝説を残した二人。街でも交渉スキルで情報を集め異世界を頑張って生き抜いていく。
3)食べ物が美味しければどこだって天国。ご当地スイーツを買い込み魔獣の肉を味わいながら進んでいく旅はとってもほのぼの。
主要キャラ紹介
ハル
元は三十代のサラリーマンで異世界召喚時に十代半ばに若返る。
イーズ
愛らしい風貌の中学二年生。美味しいものが大好きで、ハルに懐いている。
フィーダ
ハルとイーズが道中を共にすることになった乗合馬車連合の護衛。
-
逃亡賢者(候補)のぶらり旅 召喚されましたが、逃げ出して安寧の地探しを楽しみます
著者: BPUG イラスト: 村カルキ
グルメに観光、最強凸凹コンビが自由気ままに異世界を満喫します!
異世界に召喚された遥と和泉は、その場の怪しい雰囲気を察知してチートスキルでこっそり逃げ出す。王城で潜伏しつつ情報収集する中で、元の世界には帰れないことを知り……ならば探そう、のんびり暮らせる永住先!
ふたりはハルとイーズに名を変えて旅立つことに!?
見知らぬ世界のご当地グルメや壮大な風景――若返った元サラリーマンと中学二年生の凸凹コンビが異世界を満喫し尽くす、気ままなのんびり観光旅がスタート!