【レビュー】ラノベ×ブルーライト文芸の傑作! 学園で巻き起こる奇妙でエモい青春ストーリー‼

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から8月20日に刊行された『パジャマのきみと、教室で青春を』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 なんとも不思議な読み心地の作品だ。
 なるべくネタバレにならない範囲で感想を書き綴ると、筆者は50ページを過ぎたところで呆気にとられることになった。え? この話そういう展開になるの? そりゃ少し奇妙なタイトルだったけど……と。

 しかし、西織高校限定の神様みたいな生徒会長に導かれるまま、一度そういうものだと“タネ”を理解してしまえば、あれこれ生じるトラブルを少年少女が乗り越えていく、いわゆる学園青春モノとして真っ直ぐな面白さが楽しめる。
 「ゼロ年生」認定された生徒は、校内では制服がパジャマに変形してしまい、一般生徒には認識されなくなる。一年生合流を目指して課題に挑んでいくのだが、彼女たちの悩みが反映されて異常事態が引き起こされてしまう。それを切り抜けるための機転や、展開が本作の見どころだ。「不思議」だけで終わらない、青く瑞々しいドラマに気付けば引き込まれていた。


 何が何でも友達をたくさん作りたい琴守と、どうあっても友達というものを作りたくない雨谷。二人の特殊過ぎる信条がどんな事情から生まれたのかも、物語が進むにつれて次第に明らかになっていく。強引ではあるが可愛らしい琴守と、彼女に引きずられながら変わっていく雨谷。二人の関係も実にいい。
 一方で、琴守に課せられた「親友を作る」という課題のタイムリミットは迫ってくる。彼女が伏せていたもう一つの本音を明かしたところから、物語はいよいよ加速していって、快い結末に到達。二巻以降への準備もばっちりで、続きが楽しみ。

文:髙橋義和

ざっくり言うとこんな作品

1)西織高校では一年生未満の生徒は「ゼロ年生」!? 課題をクリアして一年生に合流しよう!

2)わがままになってでも、もう後悔はしたくない! パジャマ制服の琴守楓花は、友達を増やしつつ課題の「親友」を作れるのか?

3)「ゼロ年生」をなぜか認識できる雨谷圭。琴守の最初の友達にさせられた彼が、ゼロ年生たちを救うキーパーソンになる?

主要キャラ紹介

雨谷 圭(あまがい けい)
西織高校の一年生。友人を作らないことにこだわっているが、琴守に巻き込まれてその主義が揺らいでいく。


琴守 楓花(こともり ふうか)
長期入院から退院して、雨谷と同じ西織高校に転校してきた少女。友達百人作るのが夢だが、転校初日にゼロ年生認定されてしまう。


岸 亜莉栖(きし ありす)
西織高校のゼロ年生。元アイドルで、アイドル生活に未練を抱えている。


嶋本 絵菜(しまもと えな)
西織高校のゼロ年生。異常なまでに男子に惚れっぽくすぐに恋してしまうから、男子から距離を置いている。

関連書籍
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    パジャマのきみと、教室で青春を

    著者: 山賀 塩太郎   イラスト: 成海 七海

    可愛くて、エモい。4人だけの教室で始まる、青春と恋の物語。

    ――私たち、運命なんだよ。
    そう言っておれに笑いかけてきた彼女は、パジャマが合わさったへんてこな制服を着ていた。

    学校では制服を着る。
    そんな”普通”が許されない、学校から消失した少女たちが集まるのが、高校ゼロ年生の教室だ。

    なぜか彼女達を認識できる特異体質のおれは、
    頼る相手がおれしかいない病院帰りの美少女お嬢様なゼロ年生・琴守楓花に、
    学校から消えるという不思議現象の解決に協力することでお近づきになる。

    しかもその教室には、ほかにも悩みを抱えている不思議な制服の美少女たちが集まっていて――

    夏の京都、世界から消失したヒロインたちと幸せに向かう青春物語。

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