【レビュー】ハーレムかと思いきや、みんないなくなる衝撃展開……デスゲーム的ファンタジー爆誕!
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】今回はファンタジア文庫から6月20日に刊行される『正しい勇者の作り方』です。みなさんの感想も聞かせてください!
女性だけしか勇者になれない世界で、なぜか勇者の印を手にした少年イフが、次代の勇者を決める『勇者ゲーム』に挑む。女性だらけの中で唯一の男性……ハハーン、つまりこいつはハーレムものってことか!
そんな期待を裏切らず、主人公のイフの前には次々と個性的な勇者候補生の少女たちが登場する。そして次々と死んでいき……えぇ? 思ってたのと違う……!
本作のメインとなるこの『勇者ゲーム』がとにかく悪辣。最初の試験から候補生を殺しに来る先代勇者から逃げ回れという容赦ない内容で、名前のないモブキャラからいかにも仲間になりそうなインパクトのあるキャラまで次々死んでいき、誰が生き残るか全く予想できない非常にサスペンスフルな内容となっている。
この邪悪なゲームに対して主人公のイフは当然反抗するかと思いきや、むしろ率先して他の候補生を蹴落としに来るからたまらない。本作で勇者に求められる資質はどんな犠牲にも動じない心なのだから、勇者としては正しいあり方ではあるのだが……。
そんなイフとは対称的に、全てを救う正統派な勇者を目指してゲームに挑むイフの妹シューラの存在がありがたい。君のようなヒロインがいて良かった……。
しかし、ストーリー展開も主人公の造形もこっちの予想を裏切ってばかりだな……なんて思っていたら終盤ではさらに予想外の展開がこちらを待ち受ける。あまりの展開についページを戻って読み返すと、作品のあちこちに巧妙な伏線が……。完全にやられた…。
こちらの予想を大きく裏切り、代わりにそれ以上の楽しみと驚きで殴りつけてくる本作品。デスゲームが好きな人や風変りなファンタジーを読みたいという人はぜひ手に取ってこの衝撃を味わってほしい。
文:柿崎憲
ざっくり言うとこんな作品
1)求められるのは最強の勇者ただ一人! 真の勇者を決めるために候補生100人が容赦なく死んでいく究極のデスゲームが幕を開ける!
2)魔王を斃すのに必要なものは勇気? 正義? 否! 勇者に求められるのはあらゆる犠牲を払っても目的を達成する冷酷さと残酷さ!
3)散りばめられた数々の伏線を見逃すな! 終盤で明かされる勇者ゲームに隠された最大のサプライズ!
主要キャラ紹介
イフに弟子入りする勇者候補生。勘が鋭くあらゆる攻撃を回避する。
先代の勇者。イフの師匠で『勇者ゲーム』の試験官を務める。
イフの生き別れの妹。聖剣に選ばれて正しい勇者を目指すが……。
-
正しい勇者の作り方
著者: 進九郎 イラスト: AIKO
――これは魔王を討つべく殺し合った勇者たちの物語だ。
魔王を斃す次世代の勇者を決める勇者選抜試験に集められた一〇〇人の勇者候補生の前で、魔王を追い詰めるも引退した人類史上歴代最強の勇者ブルムが告げた衝撃の真実。
「本当は魔王に、たった一撃を与えただけで僕は負けたんだ」
真の勇者に選ばれるのはただ一人。絶望する勇者候補生たちを試験官として、次々惨殺していくブルム。
魔王を斃すためには、魔王以上の残虐性と冷酷さを併せ持った勇者を作り出すしかない――。
ブルムの弟子を名乗る勇者候補生唯一の男性イフ・アイドラは、生き残りを懸け『勇者ゲーム』に身を投じる。
偽りの希望を今度こそ本物に変えるために――。
勇者候補生の一人。男なのに女性しか持てないはずの勇者の印を持つ。