【レビュー】ゲーム系頭脳バトルもの好きなら必読の一冊!『電脳バニーとゲームモノ。』
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】をお届けします! 今回はMF文庫Jから5月24日に刊行される達間 涼先生×とうち先生の新作です。みなさんの感想も聞かせてください!
この作品はMF文庫Jにおける『ノーゲーム・ノーライフ』『ライアー・ライアー』『神は遊戯に飢えている。』などの系譜に連なる、ゲームが主軸の物語だ。
脳内に埋め込まれた電脳ツールを活用して生活する世界で、波止場皐月はコンシェルジュアプリ「ツキウサギ」に導かれるまま、櫃辻という少女とパンドラゲームを始めることに…という形で物語は展開していく。
本作では、拡張アプリ「EP」がゲームの行方を左右する。EPによってガジェットなどの機能を拡張したり、身体能力を強化したり、五感を超能力のような第六感へ進化させることもできるのだ。
波止場が幾度となく挑むことになる「パンドラゲーム」は一見運任せのルールに思えるが、このEPを用いればイカサマも可能…というのが熱い。展開する自由度の高いゲームで次に何を見せてくるのか、わくわくさせてくれるのが本作の読みどころと言える。
特にクライマックスの渡鳥とのコイン掴み決戦は異色だった。先行作品の多くは事前に必勝態勢を仕込んでから挑むことが珍しくないのに対し、この勝負では最後まで運が関わり続け、勝敗が明確になりえない。とはいえ運任せで終わらせるわけもなく、EPを駆使した波止場がどう勝利を掴み取るのか、まさに手に汗握る展開が繰り広げられるのだ。
会話や決断も状況を常に揺るがすゲームは次第に心理バトルの様相を呈し、読み応え充分だった!
櫃辻の善良なまっすぐさは魅力的だし、ツキウサギをはじめとする各キャラのサポートアプリもそれぞれに可愛い。今後も注目の作品だ。
文:髙橋義和
ざっくり言うとこんな作品
1)主人公は記憶喪失。電脳バニーガールのツキウサギと共に、現状をどうにかするためゲームを始め、世界の危機に巻き込まれる。
2)舞台は電脳世界。需給を踏まえたマッチングに基づくゲーム対戦で、勝てば望んだものが何でも手に入る。楽しく活気ある世界だが?
3)まず打倒すべき相手は、超絶幸運の持ち主! 運が絡むならどんな勝負でも負け知らずな少女に、不運を抱えた主人公はどう挑む?
主要キャラ紹介
最初に皐月とゲームで対戦した明るい少女。超人気の配信者。
ミライのルームメイト。EP(拡張アプリ)の優れたデザイナー。
他者のユメを欲しゲームを挑む少女。とんでもない幸運の持ち主。
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電脳バニーとゲームモノ。
著者: 達間 涼 イラスト: とうち
不運×記憶喪失な主人公がギャンブルシティで生き残る!?
記憶を失った少年・波止場皐月が目を覚ますと、そこは見知らぬ路地裏。ホログラムとゲームが溢れる街中で、ディスプレイからなんとバニー姿の美少女が飛び出してくる。ツキウサギと名乗るこの子は波止場の担当コンシェルジュ。なんと、彼女に従えば、すべての願いが叶うゲームに挑めるらしい!?
「──さあ、私と一緒に欲望の限りを叶え尽くしましょう!」
記憶なし、住居なし、残金わずか。絶体絶命の状況を打破するためにゲームに挑む波止場の相手は登録者300万人の大人気配信者・櫃辻ミライ。チート・イカサマなんでもありのこの勝負に波止場は勝てるのか!?
頭脳バトル×サスペンス×バニーなサイバーパンク、開幕!
自分に関しても今いる世界についても何も覚えていない少年。不運。