【レビュー】旅路で愛と幸せを見つける物語...。『厄災の王子は素敵なメイドと旅をする』
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】をお届けします! 今回はMFブックスより4月24日に刊行される毒島先生×るいせんと先生による新作です。みなさんの感想も聞かせてください!
自分が陽キャの弟を持って気持ちが沈みがちな陰キャの兄だとしたら、『厄災の王子は素敵なメイドと旅をする1 サースロッソへの旅路』は読んで損のない物語だ。自分だってやれるのではといった気持ちになれるから。
主人公のノクスは双子の兄で、魔王と同じ赤い瞳と黒い髪を持って生まれたばかりに、領主の父親から呪われた存在だと疎まれ、屋敷のメイドたちからも虐められて育った。弟のラノは金髪で青い目を持ったイケメン。自分が陰キャの兄だったら辛いなあと思う設定だけれど、実はノクスはとてつもない魔力の持ち主で、冒険者としても最高クラスの実力者だというところに主人公としての魅力が光る。
後を継ぐのは領民に人気があるラノのほうが相応しいと、ノクスが身を引いて家を出ていってしまうところに、どうして諦めてしまうのと思わなくもないけれど、領民のことを考えてのことだとするならそれはそれでクールな判断。そうした聡明さを認められ、侯爵家の令嬢でありながらメイドに化けて婿捜しに来ていたナーナに選ばれる展開も嬉しい気持ちにさせられる。
加えてノクスには、何かとてつもない力が秘められていそうなところがあって引きつけられる。魔族でも高位の吸血鬼ですら従えてしまう力は何を意味するのか? 魔王とそっくりな容貌を持っていることと何か関係があるのか? そうした謎が明らかにされていくこれからが大いに気になる。自分が陽キャの弟という人には読む価値がないのかというと、弟・ラノが兄・ノクスを認めて陰で支える描写があってこちらでカッコ良い。大切なのは兄弟、いつも仲良く高め合おうということで。
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
・美しい姿で生まれ愛されて育った弟と違い魔王のような姿で生まれた双子の兄が、家を捨てて冒険者になる決断をするカッコ良さ!
・公爵令嬢なのに婿に迎える相手は自分で見定めるといって、メイド姿で領主の家に乗り込むナーナが見初めたのは兄か弟か?
・強大な力を持つ美しい金髪の吸血鬼・アイビーが、ノクスを人間たちとは違う魔族の世界へと導いていく
主要キャラ紹介
ノクスを守り続けたメイド。実は公爵家の令嬢で婿を探していた
吸血鬼の少女でノクスと出会い魔族が集まる場所へと連れていく
ノクスの双子の弟で金髪と青い瞳を持ち聡明な頭脳で領地を守る
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厄災の王子は素敵なメイドと旅をする サースロッソへの旅路 1
著者: 毒島 イラスト: るいせんと
呪われた王子は旅路の中で愛を知る
ノクスはアコール王国の王位継承権四位の少年。
しかし、彼には優秀な双子の弟がいた。更には、その両親に似ていない髪と目の色、そして「双子のどちらかが災いをもたらす」という伝承のせいで彼は『呪われた子』の烙印を押されて育つ。
ノクスに優しいのは、弟のラノと料理長、そしてメイドのナーナだけ。
16歳の誕生日、成人の儀で家督継承権を愛する弟に譲ったノクスは、実家に別れを告げ、旅立つことを決意した。その日ノクスはナーナに声をかけられる。
「私と結婚して私の実家に来ませんか?」
ノクスとナーナが旅の途中で出会うのは、ちょっと変わった人々、美しい街と風景。
数々の土地を旅する中で、二人の関係はゆっくり変わり始める。これは忌み嫌われた王子が、婚約者との旅路で愛と幸せを見つける物語。
双子の兄で魔王と同じ赤い瞳と黒い髪を持ち魔術にも優れている