Nagatsuki Tappei
長月達平
著者:川上 稔
イラスト:さとやす(TENKY)
面白い物語にはいくつかの条件がある。魅力的なキャラクター、意表をつく展開と納得のゆく結末、そして胸を躍らせるその作品ならではのルールだ。このルールは「世界観」と言い換えてもいいが、『終わりのクロニクル』という作品はその世界観において他の追随を許さない凄まじさを発揮している。それぞれ「異なる概念」を持つ10の異世界が存在し、それぞれの世界と生き残りを懸けた戦いが行われる。
――これだけでも十分わくわくさせるが、この作品のすごいところはその世界同士の大戦がすでに終わり、10の異世界が滅亡した後日談ということ。すでに10の異世界は滅び、世界にはそれぞれの世界の生き残りが点在する。そして個性豊かな主人公たちは、再び訪れる世界の危機を免れるために、自分たちの世界が過去に滅ぼした異世界の人々と交渉し、協力してもらわなければならない。――かつて滅ぼし合った人々と、今度は手を取り合わなければならない。しかし、それは決して後ろ向きな戦いではなく、滅ぶかもしれない未来の先にある明日を掴むために必要な、生きる意志を持った人々の前向きな戦いの物語。アクの強いキャラクターたちが世界を救うために手を取り合う物語、あなたにもそんな川上ワールドの素晴らしさを、ぜひ体感してもらいたい。想像を超える、読書体験をお約束する。
長月達平 (ながつき たっぺい)
ライトノベル作家。MF文庫Jより『Re:ゼロから始める異世界生活』最新19巻&短編集4巻が2019年3月27日発売。 |