Sazane Kei
細音 啓
著者:斜守モル
イラスト:マナカッコワライ
これは、人を襲う人狼をテーマにしたサスペンス・ホラーです。2017年に読んだ本の中で一番怖いミステリでビターで残虐で、どう足掻いてもハッピーエンドなんてありえない世界です。
――ただし、最後にちょっとだけ救いがあります。最高に熱くてダサ格好いい男と可愛い幼女による、ほんのちょっとの「ラブコメ」が。ライトノベルでここまでやるのという屈指のホラーと残虐描写で凍えきった心が、一欠片のラブコメに温められる……これはちょっと未体験の感覚で、はっきり言って衝撃でした。サスペンスとラブコメをこうも組み合わせたきたのか、と。正直、良くも悪くもラノベっぽくありません。可愛い表紙なのに中身は本格的なミステリ仕立てで、アニメよりいっそ実写ドラマが似合う作品ですが……それでもこれをラノベにできたのは、やっぱり射織とアイカの二人なんでしょうね。どうやってもハッピーエンドにならない「はずだった」主人公とヒロインのサスペンス・ホラー(ラブ)を、見届けてください。
※注意 今回、オススメするのはシリーズの2巻です。1巻はさらに人を選ぶ内容なので、ご興味を持った方はまず2巻からでもいかがでしょうか。
細音 啓 (さざね けい)
ライトノベル作家。代表作はファンタジア文庫『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』、MF文庫J『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?』『世界の終わりの世界録』など。 |