Yoshida Hisanori
吉田尚記
著者:火浦 功
イラスト:出渕 裕
小説で、笑っていいんだ!
そう中学生の私に教えてくれたのが、火浦功作品。当時、笑えるロボット放浪モノ、なんて一つもなかったところに登場したガルディーンの衝撃。ほかの作品も、ハードボイルドSFもあったけど、宇宙人も科学者も、みんな大スラップスティック。言葉遊びからシュチュエーションギャグ、パロディ対象も洋画から古典落語まで、キレキレな台詞に乗せて展開されていたのだ。そんな中で何度か登場したのが、楽屋落ち。みんなが憧れる作家と編集者の世界。もともと「時をかける少女」で原田知世さんの相手役をつとめていた深町役の「高柳くん」がその後編集者になって、「未来人が原稿を取りに来た!」みたいな明るいザワザワが描かれていた。真っ正面から影響をうけまくって、私は落語研究会なんかに入ってしまったのである。その後、憧れの編集者ではなく、ニッポン放送に入社するのですが…! なんとそこで出会ったのが、再度転職し、ニッポン放送に入社していた未来人。そう、高柳くんは、いまニッポン放送の高柳部長、なのである!
私にとって火浦功作品は、小説を飛び出して、現実までコメディ化してくれてしまった存在なのだ。