ここにロボットのざんがいがある。

 その左うでかたの部分からごっそりとなくなっており、残った右腕も関節があらぬ方向に曲がっている。下半身はちぎれていてそもそも存在せず、腹部からは体内のチューブがぞうもつのようにだらしなくはみ出ている。

 一見するとただのスクラップとしか思えないこのロボットだが、かつては人間の家で働き、主人に愛されて幸せに暮らしていた。

 HRM021─αアルファ、登録呼称アイリス・レイン・アンヴレラ。

 それがこのロボットの名前である。

 この記録は、オーヴァル大学第一ロボティクス研究所のラルフ・シエル実験助手によって、HRM021─αアルファ精神回路マインド・サーキットデータを再構成したものである。

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