夕陽とやすみは隠しきれない? その1


「……あー、あんたとラジオやるの、ぜんぜん慣れないわ」

「……そうね。わたしもそう思うわ。ぜんぜん慣れない」

「だいたいさぁ、根暗なわたなべゆうぐれゆうでキャラがちがいすぎるんだって。『そんなことないよぅ』なんてよく言えるね。ふわふわーっとしたしゃべりを聞くたびに、ぞわっとするんだけど」

「それはおたがい様でしょうに。どうしてとうみたいな頭の悪そうなギャルから、うたたねやすみの元気でかわいい声が出るのよ。ちょっとしたホラーなんだけど」

「は? それを言ったら……、ん? はぁー、へぇー? ふーん?」

「……なによ、気持ちの悪い声を出して」

「あたしみたいなギャルから、うたたねやすみの元気でかわいい声が出るのがホラーだって?」

「そう言ってるんだけど?」

「あたしの声は、元気でかわいい?」

「──。言ってないわ。そんなこと。断じて。あぁ、かわい子ぶってるって言ったんだけど、聞こえなかったかしら。都合よくかいしやくしたいなら、お好きにどうぞ」

「こいつ……。最初のあいさつんでリテイク入れたくせに、ずいぶんはしゃぐじゃない」

「っ。あなたそれ本当にいい加減にしなさいよ。人がミスしたあとに『そのあいさつも慣れてきたね』って、よくもそんなしようわるいやを入れられるわね。だんはあなたの方がミスだらけなのに」

「今あたしの話関係ないから。わたなべの話だから。あとだんもそんなにミスしてないんで。人にける前にちゃんと反省したら?」

「出たわ。あなたのそういうところ、本当にきらい。自分のことは棚に上げるくせに人のミスばかりグチグチと。あぁもう、なんであなたみたいなばんじんとラジオをやってるのかしら」

「それはこっちのセリフだっつーの。根暗丸出しの女といっしょにラジオだなんて、あたしだけ難易度高すぎなんだけど。だいたいさぁ……!」

「……ふたりとも、盛り上がってるところ悪いけど。もう再開するって。えー、三、二、一」


「はぁい! というわけで~、今回は新コーナーがあります~。やっちゃん、説明をどうぞ!」

「はーい! 任せて! ええとですね、今回やすみたちがいどむのは! なんと……!」


 人間、どうしたって合わない相手はいるものだ。

 そりが合わない。気にわない。あいれない。見ているだけで腹が立つ。

 プライベートなら近付かなければいいけれど、仕事となるとそうはいかない。

 ましてやそれが、ラジオのパーソナリティ同士なら。

 合わない相手であっても、それをリスナーに気付かれてはいけない。

 そんなあいしようの悪い相手と、ラジオ番組をやっていくとして。

 果たして、どこまでえられるものでしょうか──。

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