からやつきようの散らばるれきの上に、一人の少女が横たわっていた。

 プラチナブロンドのちようはつを持つ彼女の腹は、純白のタクティカルスーツごとけている。そこから、あざやかすぎる赤があふて、雪におおわれたコンクリートを伝い落ちていった。

 こうはいしたちよう高層ビル群が織り成す灰色の樹海の下。

 少女の横たわるだんこんだらけの大通りには、おびただしい量の死体が敵味方関係なくうち捨てられていた。死体は全てタクティカルスーツに身を包んでおり、金属製のチョーカーを首にめている。見れば、全員が少年少女であった。

 そんな中、くろかみしつこくのタクティカルスーツというちの少年──いちあきは、仲間のしかばねえて少女の前に立つと、その頭部にアサルトライフルのじゆうこうを向けた。

 呼気が白くけぶる。視界のじやになるため、息を止めた。

「痛い……、いたい。……お願い。殺、して」

 まえがみに目元をおおわれた少女が、か細い声で鳴く。

 この戦場においてひんの人間はめずらしい。だれも彼も、負傷して自分の身体が使い物にならなくなったたん複体再生リスポーンして次の身体へとえるからである。

 しかし、眼前の少女はちがった。はなれた場所にライトマシンガンとハンドガンが転がっている。あきたちとのせんとうで得物を全てばされ、命を絶つ手段を失ったのだ。

 早いところこの因縁の敵兵を殺して、三ブロック先の前線に合流しよう。放っておけない仲間たちが待っている──。そう思い、あきが引き金にかけた指先に力を入れた、その時だった。

「……ありが、とう」

 少女が微笑とともに顔を上げたのは。

 真夏のそらを思わせるあおひとみが、ホロサイトしにあきの目をまっすぐにく。

 その目を見たたんあきの心がざわついた。

 言葉に反して、少女のひとみなみだたずさえながらもらんらんかがやいていた。まだ死にたくないと。まだきたいと。人の命が再生可能なこの時代に、少女の身体は生を望んでいた。

 あきは急に自分の足元がくずれていく感覚におちいった。

 ──そうだ。なんで俺、人を殺しているんだ。

 いて出たいつしゆんの感情が、指先をなまりのように重くする。視野がきようさくし、呼吸が速くなる。

 おくれて、その感情が恐怖きようふであることを自覚した。それは、人から何かをうば恐怖きようふ

「お願い、早く……っ!」

 少女のさけびにはっと我に返り、奥歯を食いしばる。

 そしてあきはトリガーを──

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