プロローグ

 俺、ひいらぎせいいちは今までの人生のなかで直面したことのない現実と対面している。

「酒、飲ム」

「私、未成年なんで」

「ナラ、食事スル」

「今お腹空いていないんで」

「ナラ、私ト寝ル」

「昨日は十分睡眠をとったので」

「ナラ、私ト結婚スル」

「全力でお断りしまああああああああす!」

  ――――俺、ゴリラに求婚されてます。

 どうしてこうなった!?

 自分の置かれてる状況が理解できねぇんだけど!? マジでこの状況なに?

 お、落ち着け……取り乱したところで何も変わらねぇぞ……。

 まず、俺の目の前にいるのは、確実にゴリラ。

 だが、ただのゴリラじゃない。

 鍛え抜かれた筋肉に、それを覆う燃えるような赤色をした体毛。顔はまんまゴリラだが、口から覗く巨大な牙が、地球にいるゴリラとは明らかに違う。

  ――――カイザーコング。

 それが、目の前のゴリラの名前である。そして雌。

 キングでコングなわけでもなければ、ドンキーでコングなわけでもない。カイザーである。

「私、初メテ。ダカラ、優シクシテネ?」

「黙れえええええええええっ!」

 頬を赤く染めるカイザーコング。もう死にたい。

 ちなみに、このカイザーコングのことは、俺は知識としては知っていた。

 それも、クレバーモンキーとアクロウルフから得た知識でだが。

「子供、10人欲シイ。デモ、増エテモイイヨ」

「もう一生口を開くな。てか死んでくれ……!」

 全然落ち着けないよ!? もう目の前のゴリラのせいで何が何だかわからねぇよ!

 こういうときこそ本当に冷静にならねぇと……。

 俺はカイザーコングの言葉を無視し、状況整理のため、これまでのことを思い返した。

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